フレキシブルチューブの材質について
フレキシブルチューブの材質について詳しく説明します。
<フレキシブル博士↑>
オッホン。今日はフレキシブルチューブの材質について教えよう。
金属、樹脂、ゴムでできたフレキシブルチューブ、フレキ管と言われるものがあるが、
その中で金属製のフレキについて、材質を詳しく説明していこうと思う。
よろしいかな、
比較的径の細いフレキシブルチューブの材質はステンレスSUS304が多い
配線保護に使われるフレキシブルチューブの材質は、ほとんどがステンレスSUS304になります。
板材を曲げ加工行い、巻き付けていきますのでやはり加工性の良いもの、
耐食性の良いものが使われます。
仕上げはBAのものを使うことが多いです。
海岸地域など特に塩害の対策が必要な場合にはSUS304にモリブデンを加えたSUS316、
さらに炭素量を減らしたSUS316Lが使われることがあります。
そのほかにも、軽量化が必要なケースではアルミ製、
音響機器などでノイズ対策が必要な場合には銅製や、真ちゅう製、
軽量でなおかつ強度が必要なケースとしてチタン製のフレキシブルチューブ
もありますが、あくまでも特殊品です。
ステンレス製フレキの詳細はこちら
フレキシブルチューブに鉄が使用される場合の事例について
一方で、鉄製のフレキシブルチューブも一般的です。
ビルや工場、道路や鉄道など、建築物のケーブル保護管には
鉄製のフレキシブルチューブが使われています。
電線管の曲がる部分に使われることから可撓(かとう)電線管とも呼ばれています。
材質は、溶融亜鉛メッキ鋼板(SGCC)が一般的であり、
最近ではその中でも皮膜処理に六価クロムを使用しないクロムフリー鋼板が使用されています。
屋外で使用することも多いため、PVCを被覆して、防水にしています。
ビニールフレキと言われるものです。
また、全く別の用途ですが、
電気スタンドやマイクスタンドに使われているスタンドフレキシブルチューブも、鉄の材質で作られています。
これはバネ材である硬鋼線(SWB)の丸線と
柔らかい軟鋼線(SWR)の三角線の組み合わせで作られます。
この摩擦力によって形状保持するフレキになっています。
詳しくは別項目で構造の確認をお願いいたします。
但しこの場合も、錆対策や見栄えの点から、メッキや塗装を施すことになります。
医療用に使われるフレキシブルチューブの材質は
現在、医療用器具として使用されているフレキシブルチューブは
内視鏡挿入管のコアとして使われるコイルチューブや
カテーテルなどのワイヤーガイドに使われているスプリングチューブが多いです。
これらは、基本的に直接人体に触れない部分なのでSUS304が使われることが多いです。
コイルチューブはSUS304CSP-H、スプリングチューブはSUS304WPB、いずれもバネ材になります。
それでも最近はより高品質の材料が求められてきており、
SUS316やSUS316Lといういわゆる「サージカルステンレス」と言われているものや、
析出硬化系のSUS630、ハーキュリーと言われているSUS301、
さらに生体親和性の高い64チタン合金Ti-6AL-4Vや
ニッケルチタンNiTiでの開発製造も一部始まっています。
表面のビニールやブレードに使われる材質は
フレキシブルチューブには、その使用方法や使用環境によって
外面に樹脂カバーやブレード編組を行います。
防水性が必要な場合は樹脂カバーを行いますが、これも通常は軟質ポリ塩化ビニールPVCが一般的です。
一般耐油性のものが多いですが、超耐油、耐寒性、UL規格(耐熱性、難燃性)や
酸素指数の低い自己消化性のものなど、PVCのグレードを変えて
特殊性を出したものが使われることもあります。
また、PVCのほかにポリエチレンが使われることもあります。
それ以外にも用途によってウレタン、ナイロン、シリコン、テフロンなどの被覆が行われることもあります。
ブレード編組は、SUS304の細線(φ0.1~0.2mm)を使用することが多いです。
304W1(軟線)と304WPB(硬線)のどちらかになります。
SUS316やSUS316Lは特注扱いとなり、ある程度大きな製造LOTが必要になります。納期もかかります。
ステンレス以外では、断熱効果を高めるためにガラスファイバーを編組したり、
強化するためにケブラーを使ったり、
場合によっては、ケブラーとステンレスの混紡ブレードを行ったりすることもあります。
樹脂製フレキシブルチューブと金属製フレキシブルチューブの違い
樹脂製のフレキシブルチューブもあります。ポリプロピレンPPやナイロンPA、
ポリエチレンPEなどで作られているジャバラチューブと言われているものです。
有名なのはエフレックスで、ケーブル保護としてずいぶん昔から使用されてきました。
細径のものもあり昔は配線を束ねる役割が強かったですが、
今では金属のフレキの代わりに配線保護として使用されていることが多いです。
車に使用されている配線保護管は、昔は金属製でしたが
今はもう全くと言っていいほど使われておらず、樹脂製になっています。
縦方向に切れ目の入っているスリットタイプは、
すでに施設してある配線にも、被せるだけではめられるため大変便利ですが、
保護管としての強度は弱いです。
これから新素材で
<博士>
フレキシブルチューブも、鉄からステンレスへそして樹脂へというように
進化を遂げているかと思えば、やはりその用途によって、まだ鉄を使用していることもわかる。
一方で高機能素材化への流れもはっきりしてきている。
ステンレス鋼が誕生して約100年、今後はSUS312Lなどスーパーステンレスや
それを超えるような素材でフレキシブルチューブが作られる時代が
すぐそこに来てるように思われるのう・・・ホッホ