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フレキシブルノズルの性能と弱点について【その1】

浄水器用フレキシブルノズルの利点と欠点

<フレキシブル博士↗>

浄水器や整水器のフレキシブルノズルに使用されている、
インターロック型フレキシブルチューブ。

自由に曲げられて、好きな位置で止められる。水も流せるし比較的安価なものじゃ。

実に便利なものじゃが、その性能にはやはり限界がある。
その特性を理解して、うまく使うことが肝要じゃ。

きょうは性能の限界についても見ていこう。

フレキシブルノズルの耐圧性能は何Mpaか?

浄水器などで水を通すために、インターロック型フレキシブルチューブ
(インターロックフレキ)を使用する場合、2通りの方法があります。

ひとつはインターロックフレキの中に直接液体を流す方法と、
インターロックフレキの中にさらにインナーチューブを挿入して
その中に液体を流す方法です。

いずれも、使用時に水が漏れてはいけないので、リーク試験を行うことになります。
その際にインナーチューブあり、無しで耐圧性能が変わります。

特にインナーチューブなしの場合はフレキのみでの耐圧性能になりますので、
リーク試験圧力は0.01~0.02Mpa、試験時間は5sec~6secで行うのが一般的です。

これは、インターロックフレキ自体は止水できる構造になっておらず、
この中に綿糸パッキンを挿入することで止水機能も持たせているという、
あくまで簡易止水構造になっているからです。

また、綿糸が水を含んで膨潤することによってパッキンの役割をしますので、
必ずリーク試験前にインターロックフレキを30分以上お湯に浸しておく必要があります。

また、インナーチューブありの場合は、0.05Mpa程度での検査となります。
この場合は、事前にお湯に浸す必要はありません。

リーク試験の詳細は、また別途説明したいと思いますが、
インターロックフレキの耐圧性能はあくまでも簡易的なものですので、
ノズルとして使用する場合は必ず水の出口が開放状態である必要があります。

フレキシブルノズルの内径、外径公差はどのくらい?

では、インターロックフレキの内径、外径の公差はどの程度になるのでしょうか?

金属のフレキシブルチューブの製造は、
シャフトと呼ばれる金属の芯棒に巻き付けていくため、
内径はシャフトの芯棒によってある程度決まってきます。

ある程度といいましたのは、シャフトに巻き付けた後に
フレキがスプリングバックで若干膨らむため、
シャフトはフレキ完成品の内径よりも若干細いものを使用します。

そしてこのスプリングバックの具合もバラツキがありますので
これが内径、外径の公差になります。
一般的に外径12.5mmの場合±0.3mmになります。

もう一つの要素として、
フレキシブルチューブの太さを説明する際に大切なのは、
フレキには巻き始め、巻き終わりという方向があり、
それぞれ径が違ってくることです。

巻き方向を説明する際、金属の螺旋の端が内側にあるか、
それとも外側に出ているか、の違いで判断するのがわかりやすいです。

内側にあるほうが巻き始め、外側に出ているほうが巻き終わり、になります。

フレキを必要な長さに切断した際に、
巻き終わり側は螺旋の端がスプリングバックで拡がります。
これを我々は「戻る」という言い方をします。

そのため、巻き終わり側の端部の外径は太くなります。
どの程度太くなるかは材料のわずかな厚みや硬度の違い、
製造する機械や切断方法によって変わってきますが、
一般的に外径12.5mmの場合巻き終わり端部は12.9mmくらいになります。

フレキシブルノズルが柔らかくて保持できないのは何故?

浄水器や整水器のフレキシブルノズルの先端(出口)が、
必要な位置で固定できないというクレームを聞くことがあります。

保持できず垂れ下がってしまったり、水を通した勢いで反発してしまったりすることです。

これは、いずれもインターロックフレキが柔らかく、
保持力がないことに原因があります。

インターロックフレキは
ステンレスの板を曲げて噛み合わせてラセン状に巻いていきます。

この噛み合わせの構造によって生じる板と板の摩擦力が、
曲げた位置で保持できる仕組みです。

この摩擦力が強いと保持力が強く、硬いフレキになります。
逆に摩擦力が弱いと保持力が弱く、柔らかいフレキになります。

しかし保持力を強くするために、ただ単純に摩擦力を高める目的で
噛み合わせ部を強く押して(潰して)しまうと、
曲げ半径が大きくなってしまったり、
先述の綿糸パッキンが機能しなくなったりしてしまいます。

保持力を強く、なお且つ小さく曲がり、漏れもないフレキを作るのが
言わば職人技になるのです。

続きは次回にて

インターロックフレキだけに限らず、フレキはとても便利で安いものですが、
反面とても微妙で寸法公差も結構大きいのが実情です。

今回は、内外径や保持力について解説してきましたが、
次回は長さ公差、ねじり強さについて説明していこうと思います。