高性能フレキシブルクーラントノズルの選び方 その1
1.クーラントノズルの基礎知識
1-1 クーラントノズルとは何?
工作機械でモノを削ろうとした場合に、工具と加工物の間でものすごい熱が発生します。
たとえば高速回転のドリルを金属の加工物にちょっと当てただけでも、
すぐに煙が上がってくるのがわかります。
切削時に冷却オイルをかけながら加工することは常識となっていますが、
このオイルの種類や純度、吹きかける位置や量によっても
加工品の精度や工具の寿命が大きく変わってくることがわかっています。
クーラントは機械加工の重要要素のひとつと言っても過言ではありません。
そんなクーラント装置の中で、加工物や工具に冷却液を吐出するのがクーラントノズルになります。
ノズルによってクーラントの位置や量に大きく影響がでてくるのです。
そんなクーラントノズルにはどのような機能があって、どのように選んでいけばよいのか、
ここではできるだけ詳細に解説していこうと思います。
1-2 クーラントノズルにはどんな機能が求められているか
適切な位置に適切な量を一定の勢いで吹きかけることができるように、
まさに加工している部分(ワーク部)の近くまでノズル先端を持ってきて、
なおかつ加工中は位置が動かないようにすること、
これがクーラントノズルに求められる機能ということになります。
しかしその位置はワークによって変わってきます。
同じ製品をずっと作り続けていくのであれば話は別ですが、
ほとんどの工作機械はいろいろな加工を行うことを前提にしており、
使用する部品加工会社もいろいろな部品の加工をすることになります。
そうなるとワーク部の位置も変わってきますので、
当然ノズルの位置もその都度変えていく必要が出てきます。
したがってクーラントノズルは自由に位置を変えられるフレキシブルなものである
ことも求められる機能ということになってきます。
1-3 エアー用としてのフレキシブルノズル
クーラントは冷却オイルによって加工熱を除去するものですが、
一方でワーク部にエアーを吹き付けることによって切粉を吹き飛ばすための
フレキシブルノズルもあります。
クーラントと同じものを使用している場合もありますし、
区別するためにあえて違う種類のノズルを使用しているケースもあります
2.クーラントノズルの種類
2-1 クーラントノズルにはどのような種類があるの
前述したように、クーラントノズルにはその位置が大切ということがわかりました。
自由に位置を変えられて、なおかつその場で動かないこと、という相反する機能を
どのようなノズルが対応しているのか、その種類を見ていきましょう。
2-2 固定式クーラントノズル
固定式とは、機械本体に50mmくらいの金属パイプを取り付けて
そこからクーラント液を吹き付ける方式のものです。
吐出位置はワーク部から離れていますが、高圧で広範囲に噴き出すことで
多少ピンポイントではなくても冷やすことが可能とされています。
また同時に切粉を吹き飛ばす機能も有しています。
高圧での噴射が可能ですが、位置が固定されているため場所を調整する際は、
ペンチなどで強制的に角度を変えるなどの処置が必要になります。
2-3組立式フレキシブルクーラントノズル
組立式のクーラントノズルは、主にポリアセタールなどの樹脂でできたパーツを
専用工具ではめ込んで組み立てることで長さを調節していくものです。
現在はこの製品のノズルが主流で多くの工作機械に標準装備されています。
比較的小さく曲がり、また簡単に長さや先端の吐水口を変えられることができます。
この組立式には、樹脂製だけではなく金属でできたものもあります。
2-4螺旋管(らせんかん)式フレキシブルクーラントノズル
螺旋管式クーラントノズルは、鋼やステンレスの素材を螺旋型に巻き込みながら
パイプ状にしていく螺旋管というものを使用しています。
螺旋管はフレキシブルチューブ、フレキシブルパイプと呼ばれており、自由に曲がり、
かつ曲げた形状を保持できる性質を持っています。
しっかりと吐水位置を保持して長寿命ですが組立式のように長さ変更はできません。
2-5ドリル先端式クーラント
ドリル先端式クーラントは、内部クーラント式ドリルともいわれており
ドリルの中をクーラントが通って先端から吐出する方式のものを言います。
小径の深穴加工の切粉除去などに効果を発揮します。専用の工具と給油装置が必要になります。
2-6工作機械の種類によって使用するノズルの種類が違うのか
このようなノズルの種別は、工作機械の種類によって分けられているのかというとそうではありません。
旋盤やマシニング、フライス、中ぐり盤などといった工作機械では各種のノズルを装備しており、
加工工程によって使い分けしていることが多いです。
3フレキシブルノズルの選び方
前述の各種クーラントノズルの中で、いわゆるフレキシブルノズルと言われている組立式ノズルと
螺旋管式ノズルについて、ここではその特徴とデメリットについて解説していきたいと思います。
3-1 組立式ノズルのメリットとデメリット
先述しましたように組立式ノズルには樹脂製と金属製があります。
組立式のメリットは、なんといっても長さが自由に変えられることです。
機械の種類や作業によって都度パーツを付け外しして長さを調節し、
ぴったりの寸法にすることが可能です。また先端のノズル形状も付け替えることができます。
さらに、パーツの自由度が高いため曲げ半径を小さくすることができます。
デメリットとしては、組立や取外しに専用工具が必要になることです。
また、樹脂製のものはどうしても寿命が短く、使用するにつれて位置が動いてしまいやすい
傾向があります。
また、途中から漏れやすくなってきます。
金属製のものは非常に保持力が強く、高圧で噴射しても位置ずれを起こしにくいです。
ただし、位置決めするのにひとつひとつスパナで締めつけていくことになり、手間がかかります。
また今はまだ海外製が多く、高価なものになっています。
3-2 螺旋管式ノズルのメリットとデメリット
螺旋管式ノズルには、大きく2種類のものがあります。
ひとつはマイクや照明器具の支柱に使われているようなスタンドフレキシブルチューブを
使用したものであり、これは主に鋼線を使用し表面にメッキが施されています。
堅牢で保持力も高いというメリットがありますが、デメリットとして重量が重いために
L寸を長くできない、また小さく曲がらないということがあります。
また、内部はメッキがされていないため水溶性の液だとサビが発生するリスクがあります。
もうひとつは湯沸かし器などの吐水管に使用されているインターロックフレキシブルチューブと
その内部に樹脂パイプを組み合わせたものであり、「Sノズル」がこれに該当します。
軽量でなおかつ保持力が高いものになっています。
ステンレス製なので清潔でサビの心配もありません。
また、内面がフラットになっているので液の流れがスムーズで圧力損失も少ないです。
液漏れもありません。
螺旋管式ノズルのデメリットは、長さ調整ができないということです。
その2 → 導入事例や製品選択の方法