光ファイバーケーブルの保護はどのようなフレキを使えばいい?
光ファイバーは傷つきやすい
<フレキシブル博士↑>
光ファイバーの保護管にメタルフレキシブルチューブが使われていることは皆知っていることじゃろう。
光ファイバーは非常に繊細で折れやすく、亀裂も付きやすい。
断線はもちろん、キズが付くと通信が遮断されたりセンサーが働かなかったりする。
もちろん外皮でカバーされたものがケーブルとなっているのだが、
経年劣化や使用環境によってカバーが侵食されたり傷ついたりするため、
保護管が必要になってくるのじゃ。
今回はファイバーの保護管について、基本の基本を解説しよう。
光ファイバーが断線する原因
光ファイバーが折れたり亀裂が入るのは、配線の工事を行うときに外皮を損傷させるケースが多いです。
その原因は、アース線撤去時に圧着端子を引っかけてしまったり、
結束バンドをカットする際にニッパで傷つけたりといったところです。
最近では曲げに強いファイバーも使われていますが、やはり石英もしくはプラスチックでできているので、
メタルケーブルとは違って傷つきやすいです。
また敷設後も、ネズミが噛みついたり、屋外ではカラスが巣作りの枝と間違えてつついたり、
クマゼミが卵を産み付けることで断線してしまうケースもあります。
そうでなくてもクラックと呼ばれる微小な傷が時間とともに成長して亀裂に至ることも十分にあります。
特にこのクラックは浸水状態にあると進行が10倍以上速く進むと言われています。
結露などでの水の侵入対策、検知方法、被覆カバーの吸水性など対策が取られていますが
低コスト化が課題とされています。
メタルのフレキシブルチューブが使われるのはどんな時
光ファイバーの保護にメタルのフレキシブルチューブが使用されるケースとしては、
引張り強度を高める、側圧強度を高めるという目的の他に
曲げ半径を管理するために使用されるケースもあります。
現在、マルチコアタイプのファイバーは最小でR=1まで曲げられるものもありますが、
やはり折れてしまいやすいのがファイバーであります。
特に、敷設作業中には配線の取り回しなどでどうしても小さく曲げてしまうことがあります。
たとえ曲げに強いファイバーを使用したとしても、半径を小さく曲げた状態で配線を固定してしまうと、
実際に光を通した時に光が漏れてしまうという現象が良く見られます。
従って、ファイバー自体の曲げ強度と、光漏れを想定した実使用での最小曲げ半径が異なってきます。
実際にこれを想定して2種類の曲げ半径を仕様として規定している場合もあります。
つまり一定の曲げ半径を保ち、それ以上曲がらないというフレキシブルチューブが必要とされているのです。
さらに前項で話しました、ネズミ、カラス、クマゼミといった生物対策として有効になってきます。
また、ファイバレーザーとして使用する場合は、光のエネルギーがとても強いため、
しっかりとしたメタルのフレキ管でカバーすることになります。
光ファイバー用に使われるフレキシブルチューブ
では、光ファイバー用に使用されるフレキシブルチューブはどのようなものでしょうか?
ファイバーコード自体が外径2mm、3mmの世界なので
フレキシブルチューブは、ステンレス製の細径のケーシングタイプが使われるのが一般的です。
内径φ1.8mm、2.6mm、3.2mmくらいです。
配線の色分けをするため、各色のPVC被覆を行います。
屋外で使われたり、敷設の際の破損が懸念される場合には、
ケーシングタイプよりもフレキの噛み合わせが深いセミインターロックタイプを使います。
破壊強度はもちろん強いですが、フレキ自体の伸びもおさえられます。
先述しましたように一定の曲げ半径を保ちたい場合は、
フレキシブルチューブの凹凸の隙間にワイヤーを巻き付けていくことで
隙間を小さくして曲がらないようにするタイプのものもあります。
5G時代の重要な通信網として
5G時代がもうそこまで来ています。
自動運転や医療ロボットの進化など、利便性や安全性が飛躍的に向上すると言われていますが、
その神経となるのが光ファイバーであり、これは私たちの命を預けていると言っても過言ではありません。
大袈裟ですが、外径1mmに満たない通信網の遮断が社会に大混乱を引き起こす可能性もあります。
私たちはこの通信網をいかにして守っていくのか、
そのために保護管=プロテクターも日々進化していかなければならないのです。